3D Chiplet Stacking Technologyによって製造されたRyzen 9 5900Xのプロトタイプ
 AMDは現在オンラインにて開催されているCOMPUTEX TAIPEI 2021の基調講演にて、新たなCPUパッケージング技術「3D Chiplet Stacking Technology」を発表した。
 講演では、同社CEOのLisa Su氏が登壇し、3D Vertical Cacheと呼ばれる技術を適用したプロトタイプの実物を公開。7nmで製造された64MB SRAMを各Core Complex上部に直接積層することで、L3キャッシュの容量を現行の3倍に引き上げることに成功。3D Vertical Cacheは、TSV(シリコン貫通ビア)によってZen 3のCCDに直接接続しており、2TB/s以上の帯域幅を実現するという。
 3D Chiplet Stacking Technologyにより、従来の2次元のものと比べてインターコネクトの密度が200倍以上に向上。また、ダイ間の接合は銅と銅を直接接合することで熱の問題を劇的に解消し、マイクロバンプを用いた3次元積層と比べても15倍以上の密度、3倍以上のエネルギー効率をインターコネクト部分で達成できるという。
 最終的な3D Stacking版CPUの外観は、現行のものと同一。実際の製品では各CCDにSRAMが搭載されるため、CCDあたり96MB、12コアまたは16コアのRyzenプロセッサでは1パッケージで192MBのキャッシュが内蔵可能となる。
Ryzen 9 5900Xを手に持つLisa Su氏
3D Chiplet Stacking Technologyの詳細
Gears 5を用いた比較デモ
複数のゲームタイトルによる比較検証
 Gears 5を用いた比較デモも公開し、Ryzen 9 5900Xと、Ryzen 9 5900Xをベースに本技術を適用したプロトタイプを比べた結果、12%のフレームレート向上を確認。また、複数のゲームタイトルで検証を行なったところ、1080p解像度の場合、平均で15%程度の性能改善がみられるという。
 本技術を適用したプロセッサ製品については、2021年末にも製造開始の用意ができる見込みだとしている。
Teslaの新型Model SおよびModel XにRDNA 2ベースのAPUが採用
Samsungとのパートナーシップも継続
 そのほか基調講演では、デスクトップ向けRyzen 5000シリーズAPUやノートPC向けRadeon RX 6000MシリーズGPUなども新たに発表。
 さらに、RDNA 2アーキテクチャに関しては、同社のAPUがTesla製電気自動車の新型「Model S」および「Model X」のインフォテインメントシステムに採用されたことや、レイトレーシングや可変レートシェーディング(VRS)に対応したカスタムグラフィックスIPをSamsung製SoC「Exynos」の次期製品向けに提供することについても発表している。

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投稿者 chintablog

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