Ryzen 7000シリーズを手に持つAMD CEO リサ・スー氏
AMDは8月29日(現地時間、日本時間8月30日)に、米国テキサス州オースティン近郊の会場において記者会見を開催し、同社が開発を表明してきた次世代CPUアーキテクチャ「Zen 4」コアを採用した新しいデスクトップPC向けCPU「Ryzen 7000シリーズ・デスクトップ・プロセッサー」(以下Ryzen 7000シリーズ)を正式に発表した。
スー氏によればRyzen 9 7950X(16コア)、Ryzen 9 7900X(12コア)、Ryzen 7 7700X(8コア)、Ryzen 5 7600X(6コア)という4つのSKUが用意されており、9月27日からグローバルに販売が開始される計画で、価格は299ドル(1ドル=139円換算で4万1,561円、参考価格/税別)からとなっている。
AMD CEO リサ・スー氏によれば、Ryzen 7000シリーズは従来世代と比較して13%のIPC(Instruction Per Clock-cycle)向上を実現し、さらに従来世代に比較して800MHzほどターボモード時で高いクロックで動作させることが可能で、両方を合わせて最大で29%のシングルスレッド性能の向上を実現していると説明し、最廉価SKUであるRyzen 5 7600Xでも、Intelの(通常の)最上位モデルであるCore i9-12900Kよりも高い性能を実現できるとアピールした。
IPCの13%向上+クロック周波数の上昇により29%のシングルスレッド性能の改善を実現
AMDが公開したパッケージのイメージ。上の2つがCPUのダイで8コアが2つ、下がIOダイで6nmに微細化されている
コロナ禍になって以降、AMDが初めてリアルに開催する記者会見は、米国テキサス州オースティン郊外にある会場で行なわれた。オースティンには同社のオフィスや研究開発センターなどが設置されており、CPUの開発やマーケティングを行なうチームが置かれている。そのAMDのオフィスから車で数十分という会場で行なわれた記者会見には、AMD CEO リサ・スー氏、AMD CTO 兼 上級副社長 マーク・ペーパーマスター氏などの幹部が登壇して、同社の最新製品となるRyzen 7000シリーズを正式に発表した。
記者会見でRyzen 7000シリーズを説明するAMD CEO リサ・スー氏
AMDのスー氏は「我々はRyzen 7000シリーズを開発する上で非常に意欲的なゴールを掲げてきた。それは、ゲーマーには最速のCPUコアを、そしてクリエイターにはもっと処理能力を提供し、CPUコアデザインで競合他社をリードし、強力な次世代デスクトッププラットフォームを提供していくことだ」と述べ、Ryzen 7000シリーズを開発する上で、非常に高い目標を掲げ、そしてそれが実現できたから投入したのだとアピールした。
Ryzen 7000シリーズの意欲的なゴール
Ryzen 7000シリーズの特徴、Zen 4コア、5nmプロセスルール、AM5ソケット、PCI Express Gen 5、DDR5対応
Zen 4という新しいアーキテクチャを採用したRyzen 7000シリーズは、従来の世代(Ryzen 5000シリーズ)と比較してIPCは13%向上し、ターボ時の最大周波数は800MHz向上し、それらを合わせてシングルスレッドで29%性能向上を実現しているといい、マイクロアーキテクチャの改良、そしてターボ時のクロック周波数を引き上げるという2つの改善点によりトータルでシングルスレッド時に29%の性能向上を実現していると説明した。
IPC 13%、クロック周波数800MHzの向上で29%の性能向上
4つのSKUが用意されているRyzen 7000、最廉価SKUでもIntelのCore i9-12900Kを上回る
Ryzen 9 7950X
スー氏によれば、Ryzen 7000シリーズには4つのSKUが用意されているという。
Ryzen 7000シリーズのSKU
4つのSKUはいずれもAMDがエンスージアストデスクトップPC向けと位置づけられる製品群になっており、ソケットは既に導入が予告されていた新しいSocket AM5(1,718ピン、LGA)に対応する。このため、新しいチップセットとマザーボードが必要になり、AM5に対応したマザーボードがマザーボードメーカーから同時に発売される。
【表1】Ryzen 7000シリーズのSKU(AMDの発表資料より筆者作成)
| CPUコア/スレッド
| ターボ時最大
| ベースクロック
| キャッシュ(L2+L3)
| TDP
| ソケット
| 製造プロセスルール
|
Ryzen 9 7950X
| 16コア/32スレッド
| 5.7GHz
| 4.5GHz
| 80MB
| 170W
| AM5
| TSMC 5nm
|
Ryzen 9 7900X
| 12コア/24スレッド
| 5.6GHz
| 4.7GHz
| 76MB
| 170W
| AM5
| TSMC 5nm
|
Ryzen 7 7700X
| 8コア/16スレッド
| 5.4GHz
| 4.5GHz
| 40MB
| 105W
| AM5
| TSMC 5nm
|
Ryzen 5 7600X
| 6コア/12スレッド
| 5.3GHz
| 4.7GHz
| 38MB
| 105W
| AM5
| TSMC 5nm
【おわびと訂正】初出時にRyzen 7 7600Xのベースクロックを4.5GHzとしておりましたが、正しくは4.7GHzです。おわびして訂正させていただきます。 また、従来製品では105WまでだったTDPは、上位2つのSKUでは170Wに引き上げられている。これは「ゲーマーなどに話を聞くと、もっと性能のヘッドルームを求める声が多数あったからだ」(AMD 執行役員 兼 クライアント・チャネル事業部 事業部長 デビッド・マカフィー氏)との通りで、多少消費電力が上がってももっと性能が欲しいというユーザーの声に応えたためだとのこと。 スー氏は同時にそれぞれの製品が前世代などに比べてどれだけ性能が上がっているかを説明した。Ryzen 9 7950XとRyzen 9 5950Xを比較した場合、ゲームが6~35%、コンテンツクリエーションが32~48%性能が向上する。 Ryzen 9 7950XとRyzen 9 5950Xとの比較 圧巻だったのはRyzen 9 7950XとIntelの現行製品における(通常の)最上位SKUとなるCore i9-12900Kとの比較で、V-Ray Renderを利用したベンチマークではRyzen 9 7950XがCore i7-12900Kを57%も上回るというデモを見せた。さらに、その性能を出すのに必要な消費電力でスコアを割って出せる「消費電力あたりの性能」でもRyzen 9 7950Xが47%ほど上回っているとアピールした。 Ryzen 9 7950XとCore i9-12900Kの比較 また、今回発表された中では最廉価モデルとなるRyzen 5 7600Xと、Core i9-12900Kとの比較でも、F1 2022のベンチマークでRyzen 5 7600XがCore i9-12900Kを11%上回るというデモを行なったほか、ほかのゲームでもほぼ同等から最大17%性能が向上するという結果を見せ、平均で5%ほどRyzen 5 7600Xが上回るという結果を示した。 Ryzen 5 7600XとCore i9-12900Kとの比較 価格は日本円で4万円強から、9月27日にグローバルで販売開始 価格 記者会見の最後で、スー氏はRyzen 7000シリーズの価格と発売日を明らかにした。それによれば、最上位SKUのRyzen 9 7950Xは699ドル(約9万7,161円)、Ryzen 9 7900Xは549ドル(約7万6,311円)、Ryzen 7 7700Xは399ドル(約5万5,461円)、Ryzen 5 7600Xは299ドル(約4万1,561円)という価格設定(いずれも参考価格で税別)になっている。IntelのCore i9-12900Kよりも性能が高いとAMDがアピールするRyzen 5 7600Xは日本円で4万円強という価格設定が要注目だろう。 スー氏によれば、発売日は9月27日が予定されており、グローバルに同日から発売される予定だとスー氏は説明した。9月末には、この新しいRyzen 7000シリーズが読者の手元にも届くことになりそうだ。 リテールパッケージ
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