GeForce RTX 3060(12GB版)
:ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC
使用したビデオカード
MSI GeForce RTX 4060 Ti VENTUS 2X BLACK 16G OC。OCモデルでブーストクロックは2,610MHzでMSI Centerで2,625MHzまで向上可能
NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti Founders Edition。ブーストクロックは定格の2,535MHz
MSI GeForce RTX 4060 GAMING X 8G。OCモデルでブーストクロックは2,595MHzでMSI Centerで2,610MHzまでアップできる
NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition。ブーストクロックは定格の1,665MHz
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC。OCモデルでブーストクロックは1,807MHz
人気の6タイトルで性能&消費電力をチェック
ここからは性能チェックに移る。テスト環境は以下の通りだ。今回はビデオカードの消費電力を実測できるNVIDIAの専用キット「PCAT」を導入。ゲーム系のベンチマークではカード単体の消費電力も合わせて掲載する。
CPUのパワーリミットは無制限に設定。MSI GeForce RTX 4060 Ti VENTUS 2X BLACK 16G OCはブーストクロック2,610MHz、MSI GeForce RTX 4060 GAMING X 8Gはブーストクロック2,595MHz設定で実行している。
【検証環境】CPU:Core i9-13900K(24コア32スレッド)●マザーボード:MSI MPG Z790 CARBON WIFI(Intel Z790)●メモリ:Micron Crucial DDR5 Pro CP2K16G56C46U5(PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2)●システムSSD:Western Digital WD_BLACK SN850 NVMe WDS200T1X0E-00AFY0(PCI Express 4.0 x4、2TB)●CPUクーラー:Corsair iCUE H150i RGB PRO XT(簡易水冷、36cmクラス)●電源:Super Flower LEADEX V G130X 1000W(1,000W、80PLUS Gold)●OS:Windows 11 Pro(22H2)
ビデオカード単体の消費電力を実測できる「PCAT」も用意した
まずは、定番の3Dベンチマーク「3DMark」のスコアから見ていこう。
3DMarkでは、スコアが高い順にRTX 4060 Ti(8GB/16GB)、RTX 4060、RTX 3060 Ti、RTX 4060、RTX 3060となる。GPUの価格的にも順当と言えるところだ。RTX 4060 Tiはビデオメモリの容量以外、基本スペックは同じなのでスコアもほぼ変わらないという結果。ビデオメモリを大量に使う作業以外では差はないと見てよいだろう。
続いて、実ゲームを試そう。まずは定番FPSの「レインボーシックス シージ」と「Apex Legends」だ。レインボーシックス シージはゲーム内のベンチマーク機能を実行し、Apex Legendsはトレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレートを「FrameView」で測定している。DLSSなどアップスケーラーを使わない状態での性能や消費電力を確かめるテストと言える。
力関係としては3DMarkと同じだ。どれでも軽めのFPSなら、フルHD(1,920×1,080ドット)で高フレームレート、4K(3,840×2,160ドット)でも十分プレイできるパワーを持っている。
ただ、カード単体の消費電力に目を向けると大きい順がRTX 3060 Ti、RTX 3060、RTX 4060 Ti(16GB)、RTX 4060 Ti(8GB)、RTX 4060となる。RTX 40シリーズのワットパフォーマンスのよさが分かる部分だ。
ただ、RTX 4060 Tiは16GBと8GBで性能差はほとんどないのに、消費電力だけは16GBのほうが上となかなか厳しいところ。
次は、ストリートファイター6を試そう。このゲームは120fpsまで設定できるが、対戦時は最大60fpsまでとなる。CPU同士の対戦を実行した際のフレームレートを「FrameView」で測定している。
フルHDとWQHD(2,560×1,440ドット)では、すべてのビデオカードが平均60fpsを達成。4KでもRTX 4060 Ti、RTX 4060、RTX 3060 Tiはほぼ平均60fpsに到達できている。
このゲームでの注目は消費電力だろう。最大60fpsなのでGPU負荷が低く、フルHDではRTX 4060 Tiが圧倒的な低消費電力を実現している。RTX 3060の半分以下だ。RTX 40シリーズのワットパフォーマンスのよさが光る。
DLSS 3対応ゲーム
続いて、DLSS 3に対応するゲームを試してみよう。RTX 40シリーズは従来からのアップスケーラーに加えてフレーム生成が利用可能、RTX 30シリーズはアップスケーラーのみでフレーム生成は使えない。
この機能差がフレームレートにどこまで影響するのかがポイントになる。まずは、描画負荷が軽めのタイトルとしてディアブロIVを実行しよう。キヨヴァシャド周辺の一定コースを移動した際のフレームレートを「FrameView」で測定した。
ディアブロIVはDLSS 3のフレーム生成がそれほど効くタイトルではないようだ。それでもフルHDでは、ここまでのテストでRTX 3060 Tiに勝てなかったRTX 4060がわずかだが逆転。力関係に変化が見られた。
また、ビデオメモリ量が効くようでRTX 4060 Tiの16GB版が8GB版のフレームレートを若干ではあるが上回っている。
加えて、DLSSは内部のレンダリング解像度が下がるのでGPUの負荷が減って消費電力も小さくなる。RTX 40シリーズは特にその効果が大きく、レインボーシックス シージやApex Legendsに比べて、消費電力がそこそこ減っている点にも注目したい。
レイトレーシング対応ゲーム
続いて、レイトレーシングにも対応する描画負荷が強烈なタイトルとして「Marvel\’s Spider-Man: Miles Morales」と「サイバーパンク2077」を用意した。
Marvel\’s Spider-Man: Miles Moralesはマップ内の一定コースを60秒ダッシュした際のフレームレートを、サイバーパンク2077はゲーム内のベンチマーク機能を実行した際のフレームレートをそれぞれ「FrameView」で測定した。
この2本はDLSS 3のフレーム生成の効果が非常に大きいようで、RTX 4060がすべての解像度でRTX 3060 Tiを上回るようになる。RTX 40シリーズの優位性がハッキリと見える部分だ。それでいて消費電力はほとんどの解像度でRTX 30シリーズよりも小さくなる。
フルHDのワット&コストパフォーマンスを集計
ここまでのテストを集計し、各タイトルのフルHD時の消費電力をフレームレートで割ったものを「ワットパフォーマンス」、各ビデオカードの平均的な価格をフレームレートで割ったものを「コストパフォーマンス」としてグラフ化してみた。
ワットパフォーマンスでは、RTX 4060 Ti(8GB)が強い。小さな消費電力で高フレームレートを出せるGPUと言ってよいだろう。DLSS 3対応のタイトルではRTX 30シリーズとの差は大きくなる。消費電力で選ぶなら、RTX 4060 Ti(8GB)がRTX 4060が候補になるだろう。
コストパフォーマンスでは、RTX 4060 Ti(16GB)を9万円、RTX 4060 Ti(8GB)を6万3,000円、RTX 4060を4万7,000円、RTX 3060 Tiを5万7,000円、RTX 3060(12GB)を4万3,000円として算出した(2023年8月中旬調べ)。
その結果、レインボーシックス シージとApex LegendsではRTX 4060 Ti(8GB)とRTX 3060 Ti、RTX 4060とRTX 3060(12GB)が拮抗する。DLSS 3まで含めるとRTX 4060がコストパフォーマンスではトップに立つ。
ただ、各ビデオカードを最安値にすると少々変わってくる。原稿執筆の8月中旬時点では以下のような価格だった。 GeForce RTX 4060 Ti(16GB):7万7,000円前後GeForce RTX 4060 Ti(8GB):6万円前後GeForce RTX 4060:4万4,000円前後GeForce RTX 3060 Ti:4万5,000円前後GeForce RTX 3060(12GB):3万8,000円前後
そうなると、DLSS 3非対応のレインボーシックス シージとApex LegendsではRTX 3060 Tiがコストパフォーマンスのトップになる。
ただし、RTX 3060 Tiの最安値モデルはシングルファンのシンプルな定格クロックの製品。冷却や性能重視したい人には選びにくいという点は覚えておきたい。
Stable Diffusion XL 1.0ではRTX 3060(12GB)が強い!!!!
AI処理性能も見ていこう。まずは、Stability AIが2023年7月27日に公開した画像生成AIモデル「Stable Diffusion XL 1.0(SDXL 1.0)」を試そう。ここではStable Diffusion web UIを使用し、Sampling Methodに「DPM++ SDE Karass」を選択、「Base」モデルで生成を実行した。起動パラメータには「–xformers –no-half-vae」を追加している。
Stable Diffusion XL 1.0で画像生成するのにかかった時間を測定した
ExcelのSDXL10参照
今回は512×512ドットと768×768ドットの2種類の解像度で生成したが、ビデオメモリが8GBでは強烈に時間がかかった。SDXL 1.0での高速な生成には、ビデオメモリ12GB以上とGPUのパワー両方が必要と言ってよいだろう(起動パラメータの調整で変わる可能性はあるが)。
ゲームでは微妙だったRTX 4060 Ti(16GB)が圧倒的トップ。続くのがRTX 3060(12GB)だ。ビデオカードの価格を考えると、画像生成を楽しみたいならRTX 3060(12GB)が一番おトクと言ってよい。
ただし、ビデオメモリ量が多ければどんなAI処理でも強いというわけではない。
次に「Procyon AI Inference Benchmark for Windows」を実行する。これは、MobileNet V3、Inception V4、YOLO V3、DeepLab V3、Real-ESRGAN、ResNet 50とさまざまな推論エンジンを使ってAIの総合的なパフォーマンスを測定できるベンチマークだ。ここでは、NVIDIA TensorRTのFlost32に設定してテストしている。
ExcelのAI参照
RTX 4060 Ti(8GB/16GB)がほぼ同スコアで、RTX 4060、RTX 3060 Ti、RTX 3060(12GB)と続き、ビデオメモリの量がスコアに結びついてはいない。つまり、前掲のSDXL 1.0が特にビデオメモリ量の効果が高いということだ。
フルHDゲームならRTX 4060がバランスよし! 画像生成もやるならRTX 3060(12GB)
NVIDIAのミドルレンジGPUをテストしてきたが、RTX 4060 Ti(8GB)/4060の価格が発売当初よりもじわじわと下がってきていることもあり、コストパフォーマンスではRTX 3060 Ti/3060(12GB)と拮抗、ワットパフォーマンスは明確に上回る。
フルHDでのゲームプレイを考えているなら、どのGPUを選んでも性能的に問題なしと言えるが、中でも低消費電力でDLSS 3にも対応できるという点からRTX 4060のバランスが一番よい。
その一方で、ビデオメモリ量がパフォーマンスに大きく影響する画像生成をやってみたいと考えているならRTX 3060(12GB)がベストな選択だ。なお、RTX 3060は8GB版もあるので購入時には注意してほしい。
ミドルレンジGPUは人気があるだけに、今回のテスト結果が購入の参考になれば幸いだ。
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