ASUS「NovaGo」。599~799ドルと比較的低価格で提供される予定
 ASUSは12月5日(現地時間)、Qualcommがハワイのマウイ島で開催中の「Snapdragon Tech Summit」にて、SoCにSnapdragon 835を搭載したArm版Windows 10採用の2in1デバイス「NovaGo」を発表した。
 NovaGoのメモリは最大8GB、ストレージは最大256GBで、ストレージデバイスにはUFS 2.0(Universal Flash Storage 2.0)が採用されている。ディスプレイは13.3型のフルHD(1,920×1,080ドット)になっており、ディスプレイ部分が360度回転する機構を採用する。
 スタイラスペンをサポートし、Microsoft Pen Protocol(MPP)に対応した1,024段階の筆圧検知が可能なASUS Penが利用できる。本体の重量は1.39kgで、最薄部は14.9mmとなっている。
360度回転型ヒンジで回転式の2in1型デバイス
キーボードとパッド、パッドの左上にWindows Hello対応指紋センサー
左側面、USB端子が2つ、ACアダプタ端子
右側面、電源、ボリューム、ヘッドフォン、HDMI端子、SIMカードスロット
底面
展示されていたのはメモリ6GBのモデル
デバイスマネージャーの表示、8つのCPUとUFS 2.0のストレージが確認できる
ASUS Pen、MPP対応
 展示品にはWindows 10 Sが搭載されており、x86アプリはバイナリトランスレーションを利用して動作する。気になる性能だが、展示品に入っていたx86アプリは英語版のOffice 2016ぐらいで、それを使っている感覚では、Cherry TrailのAtomよりは速く、Core i3よりは遅い印象。つまり筆者的にはAtomとCoreプロセッサの中間ぐらいという感覚だった。
 なお、UWP化されているCrystalDiskMarkをインストールできたので試してみたが、写真のような結果となった。最新の3D NANDのSATA SSDなどと比較すると、シーケンシャルリードは遅くないが、ランダムリードとランダム/シーケンシャルライトはSATA SSDなどに比べて遅いという結果となっている。
CrystalDiskMarkの結果、ランダムのリードはSATA SSDと遜色ないが、ライト全般とランダムのリードはそんなに速くない
eSIMとNano SIMのデュアルスロットを採用
 NovaGo最大の特徴は、ビデオ再生時の状態でも22時間というバッテリ駆動時間を実現していることだ。また、スタンバイモードではACアダプタを接続しなくても、30日間バッテリで駆動できる(Windows 10のModern Standbyに標準で対応)。
 もう1つの注目点は、Gigabit LTE(下り1Gbps)に対応していることだ。最近ではスマートフォンでもGigabit LTE対応製品が増えつつあるが、PCでGigabit LTEのモデムを内蔵した例は、筆者の知るかぎりこれまでなかった。
 今回Snapdragon 835を採用したことで、LTEモデム(Snapdragon X16モデム)を利用可能になり、4CA/4×4 MIMO活用時で下り1Gbpsの速度が実現可能になっているのだ。ただし、これは通信キャリア側も4CA/4×4 MIMOに対応している必要があるので、必ずしも1Gbpsで通信できるというわけではない。
SIMカードスロット、最近のスマートフォンに多いデュアルSIMスロット(1つはmicroSDと排他)
Sprint回線での通信速度
 NovaGoでは、標準でMicrosoftが提供するeSIM、ないしはNano SIMを利用できる。eSIMは1枚のSIMカードで複数の通信キャリアと契約して利用できるSIMカードのことで、MicrosoftのAlways Connected PC構想の一環として提供されるサービスになる。
 もちろん、通常の通信キャリアが提供するSIMカードも利用可能で、その場合にはNano SIMをSIMカードスロットに挿せばいい。展示されていたNovaGoでは、SIMカード1とSIMカード2のスロットがあり、eSIM(現状は物理的なSIMカードとして提供されている)とNano SIMカードを切り換えての利用もできる。ただし、SIMカードスロットの1つはmicroSDカードスロットと排他だった。
 展示会場では、NovaGoに米国の通信キャリアであるSprintのSIMカードが入れられ、高速通信の様子を披露していた。
 ASUSのジェシー・シェンCEOによれば、4GBメモリ/64GBストレージのモデルが599ドル、8GBメモリ/256GBストレージのモデルが799ドルという価格とのこと。展開先は米国、中国、イタリア、イギリス、フランス、ドイツ、台湾であり、国によっては通信キャリアなどからも提供される予定という。それ以外の国での提供に関してはとくに発表されておらず、日本で販売されるかも現時点では未定だ。

関連リンク ASUSのホームページ(英文) Qualcommのホームページ(英文)

関連記事

【速報】QualcommとMicrosoftが“Arm版Windows”を正式発表
2017年12月6日

【詳報】Win32アプリが動く“ARM版Windows 10”はフル機能搭載の完全なるWindows 10
2016年12月8日

Microsoft、国内/海外でも常時接続を実現するeSIMをWindowsに実装
2017年6月1日

連載
笠原一輝のユビキタス情報局
Snapdragon 835とARM版Windows 10でPC業界を改革
2017年1月13日

連載
笠原一輝のユビキタス情報局
Qualcomm、Snapdragon 835でのWindows 10の動作デモを公開
2017年6月1日

【詳報】常時接続で20時間超駆動を目指すSnapdragon搭載のWindows PC
2017年12月6日

投稿者 chintablog

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です