米NVIDIA Researchは22日(現地時間)、ナムコの名作「パックマン」のゲームプレイを学習させたことで、ゲームエンジンなしでパックマンのゲームそのものを自動生成/プレイさせる「GameGAN」の開発に成功したと発表した。
これは5万エピソードにもおよぶパックマンのゲームプレイを、AIに学習させることで実現した。学習を通じて、AIは「パックマンは壁を通り抜けられない」、「パワーペレットを食べるとゴーストが青くなって逃げ出す」、「パックマンは迷路から出ると画面の反対側に出る」、「ゴーストとぶつかった場合画面が点滅してゲームが終了する」、「ドットをすべて食べることでゲームがクリアできる」といったゲームの主要ルールを学習した。
その上で、ゲームをプレイする「識別機」と、ゲーム環境を生成する「ジェネレータ」という2つの競合する敵対的生成ネットワーク(Generative adversarial Network:GAN)を構築させ、ニューラルネットワークとしてはじめてゲームエンジンを模することに成功した。
「識別機」がゲームをプレイすると、「ジェネレータ」がそれにリアルタイムに反応して新しいゲーム環境のフレームを生成。複数レベルやバージョンの画面プレイを学習させれば、これまで見たこともないようなものを生成することも可能だという。
GameGANを利用すれば、ゲーム開発者が新しいレベルのレイアウトを自動的に生成できる。また、ゲーム内での応用のみならず、AI研究者が自律マシンを訓練するためのシミュレータシステムをより簡単に開発できるという。
たとえば、これまで自律型ロボットを開発するさいに、まずはシミュレータで訓練をするのだが、オブジェクトがどのように相互作用するのか、環境内での光の変化といったルールもコード化しなければならなかった。GameGANを利用すればこのようなさまざまな環境もリアルアイムに生成して訓練できる。自動運転においても、同じことが言える。
GameGANに関する詳しい論文は、6月に開催されるConference on Computer Vision and Pattern Recognitionで発表される予定。
関連リンク NVIDIA Researchのホームページ(英文)
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